ザ☆宣伝 「三国志新聞」 コラム

サンクチュアリ出版様からお話を頂いて「三国志新聞」にコラム書きました。
連載分を掲載いたします。


コラム:女たちの三国志

1回目 2008年4月号

日本人は「三国志」が大好きだが、三国志が好きだという女子はまだまだ少数派であろう。しかしながら、三国志にハマり男性以上のマニアックな知識を持ち合わせる女子も稀に存在する。
合コンの際、強引で移り気な男子を見つけるとこっそり『呂布』とあだ名をつけたり、会社で怖い上司が来ると『遼来々!』と叫びながらどこかに消えたり、三国志トークでつい熱中して『苦肉の計って赤壁の戦いで生まれた言葉なんだよ』などとウンチクをかまし男子に引かれたり…。
かくいう私も女の子向け三国志サイトまで運営している三国志マニア。三度のメシより三国志が好き。三国志の魅力はなんといっても登場する武将達にある。
味方だけでなく敵が死んでも泣いちゃう心優しい熱血漢の劉備、知性的なのに好奇心旺盛で子供みたいな曹操、顔よし頭よし性格よしのアイドル的存在・周瑜。
こんなふうにたくさんの個性的な武将の中からお気に入りを見つけ擬似恋愛に浸るのも女子ならではの楽しみ方。
かつて私は曹操を愛するがあまり奥さんに嫉妬し、どんな人なのか調べたことがある。もしこれが現代だったらストーカー法違反ギリギリの危険行為だ。しかし1800年も昔のこと。残念ながら記述が少なく本名すらわからなかったが、政略結婚だから恋をしていたわけではなさそう。当時は政略結婚が普通だったが中には恋愛結婚した武将もいる。
一説によると『江東の二喬』と呼ばれる美人で評判の喬姉妹が、イケメン二人組にナンパをされた。実はその二人、身分を隠した孫策と周瑜!男らしくて教養もある二人に姉妹はたちまち恋に落ち、その後それぞれ結婚して仲睦まじい夫婦になったそうな。
また不良少年時代の曹操は、ナンパがエスカレートし、なんと花嫁泥棒まで働いている。花嫁が羨ましい…いやいやけしからん!!…でも羨ましい…。こんな悔しさも手伝ってさらに三国志にのめり込んでいった。好きな武将や軍師のことをストーカーばりに調べたり、もしタイムスリップして嫁に行くとしたらどうするか想像したり。女性にはこんな楽しみ方ができるのだ。
もしアナタの好きな男性が三国志好きだったとしたら、話も弾み「男のロマンがわかる奴」としてポイントアップすること間違いなし!(しかしその時、男性以上のマニアックな知識を披露する事だけはおすすめしない)三国志は敷居が高いと思っている女性の皆さん、こんな所から入門してはどうでしょう?

 

2回目 2008年5月号

もしドラえもんの世界のように、タイムマシンがあったらあなたはどこに行きたいだろうか?
OL向けフリーペーパー「シティリビング」が1500人の女性に対してアンケート調査を行ったところ、「10年前に戻りたい」という女性が8割とぶっちぎりで1位だった。
理由は「後悔を埋めたい」「思春期を訂正したい」「ちゃんと勉強したい」など、昔の自分を悔やむ人たちが多かったようだ。もし私がタイムマシンでタイムスリップできるとしたら、10年前でも20年前でもなく迷わず1800年前の中国を選ぶ。
なぜならそこには私の愛してやまない三国志の武将達がいるから。そこで憧れの三国武将のもとに嫁ぐのが私の夢。作戦も既に練ってある。
第一の夫候補は趙雲だ。ハンサムで高身長、真面目で出世確実、おまけに三国志中で10本の指に入る武力の持ち主。夫としては理想に近い。作戦はこうだ。まずは曹操宅に居候している劉備のもとを訪れ、劉備の奥さんの女官に志願する。そして上手く取り入り、奥さん経由で趙雲の嫁に推してもらう。上司の頼みなら趙雲も断るに断れないはず。
我ながらいい考えだ。しかし問題はその上司である。大きな勢力に居候ばかりしていて住居が定まらない。経済的にも不安定で臨時収入を当てにして暮らすようなものだ。「あの社長さん、人柄はいいけど何度も会社を潰してるのよね〜」と噂されるような社長だ。これでは先行きが不安だ。
では夏侯惇はどうだろう。彼なら生まれながらのお金持ち。優しく誠実で武力も高い。彼の右腕となって戦場まで付いていき、まるで結果を知っているかのような(実際知っているのだが)戦略を次々と打ち出し夫の出世を助ける。
ついでにお揃いの手作り眼帯でオシャレも楽しんで、盲夏侯夫婦と呼ばれたい。しかしせっかく妻が出世させようとがんばっているのに、謙虚すぎて『曹操と同列の扱いにされたくない』と常務取締り役の地位に甘んじる夫というのも少し物足りない。
ここはやはり、せっかく三国志の世界を楽しむのだから、一番の出世頭で尽くし甲斐のありそうな曹操がいい。さすがにライバルとなる女性も多そうだが、そこは人材と才能を愛する曹操の心理を巧みに突き、現代兵器で対抗する。例えば出兵の際に今流行のミリメシ(軍用携帯食料)を提案。これなら火も使わないで済み、兵糧の心配もなくなる。また、頭痛持ちの曹操のために「早く効き、のみやすい バファリン螺粒」をプレゼント。これできっと曹操のハートはガッチリ掴めるはず。
さあ、そうと決まったらいつタイムマシンが出来てもぬかりないように、今から中国語と漢字の勉強だ!

 

3回目 2008年6月号

あなたが結婚相手を選ぶ場合、何を重要視しますか?
結婚相談所ピュアアイが女性に行ったアンケート結果では安心感・経済力と社会的地位・価値観が多少の開きはあるものの近似数あり、次いで責任感となっている。容姿はたったの1%しかない。
男性は安心感が半数以上を占め、容姿も女性と同様重要視はされていない。そして経済力は求めない傾向にある。
これだけでもわかる通り、女性も男性も安心感に重点を置いている。これは日本が平和な証拠ではないだろうか。では平和ではない三国志の時代だったらどうだろう?
登場人物に根掘り葉掘りとしつこくアンケートを行いたいところだが無理な話なので、勝手に比較させていただくことにしよう。
三国志の時代、女性に求められるものは容姿だった。なぜ女性が容姿を重要視されるのかというと、ひとつには美女はお金持ちの娘と相場が決まっていたから。そしてもうひとつは男性のお飾り的存在だったからだ。
美女を侍らせていることと地位があることはイコールだったというわけだ。現代でもそういった傾向はあるものの、大っぴらに言おうものなら女性から袋叩きに遭うこと間違いない。
それを踏まえて容姿で嫁を選んだ代表的な男たちを紹介しよう。江南の小覇王・孫策と、美周朗・周瑜だ。第一回コラムでも書いたが、この二人は「江東の二喬」と呼ばれる美女で有名な喬姉妹を娶った。当然良家のお嬢さんだ。
孫策と周瑜にインタビューをすれば「うん、美人だったからネ!」と暢気な答えがサラウンドで返ってくるに決まっている。ぜひ袋叩きに遭って欲しいが喬姉妹もかっこよくて地位もある孫策&周瑜に満足していたようなので良しとしよう。美男美女の理想的カップルに乾杯!
逆に、容姿なんか関係ねえ!という持論で嫁を探したこの時代には珍しい男もいる。かの有名な眠れる龍・諸葛亮孔明だ。三国志のブス専と呼ばれる孔明は「美女?だってあいつら頭悪いじゃん。ブスは外見に自信がないから勉強頑張るでしょ?だから頭いいんだヨ!」と言って、ブスだけど頭脳明晰で名を馳せていた黄月英(正しい名前は不明)を嫁にした。
これは『孔明の嫁とり』といってことわざにもなっているほど。三国志の中でも頭の良さではトップクラスの孔明だから、自分と語り合え、さらに孔明自身が学ぶ所の多かった女性を求めたのではないだろうか。黄夫人が孔明を支えたと言っても過言ではない。
まったく正反対の嫁選びをした周瑜と孔明。どちらも幸せな夫婦生活だったはずだが、孔明の才能に周瑜が嫉妬をしたという逸話を聞くと、容姿ではなく内面で選び、夫婦で切磋琢磨した孔明の方が得をしたのではないかと思える。
女性の皆さん、旦那さんが出世するかしないかは貴女の手にかかっていることをお忘れなく!

 

4回目 2008年7月号

仲良きことは美しきかな。なんていい言葉だろう。
それが男女の仲であればさらにロマンティックで夢が膨らむ。が、なぜか日本は離婚率が上がる一方。
厚生労働省によると昭和30年代は0.7%、58年は1.5%、そして平成18年は2%と、徐々に上がり続けている傾向にある。主要国の中ではアメリカに次いで日本は2位、世界中では11位と衝撃の事実が浮かんでくる。
離婚率が上がる理由は様々だろうが、ひとつだけ確実なのは男女同権が主流にあることではないだろうか。
一昔前は女性から離婚を言い出そうものなら家族はおろか近隣や友人まで白い目で見たものらしい。しかし現代は女性が離婚を主張したところで咎める者は…いるかもしれないが、とりあえず法律上も倫理上も問題ない。
現代だからこそこういった考えが出来ると思いきや、実は三国志の時代にも自ら離婚を旦那に言い渡した女性がいた。丁夫人だ。彼女には子供が出来ず、旦那の側室の忘れ形見を我が子として大切に育てていた。
とても利発で感性に富み、父親の後継者になるために生まれてきたような息子。それがある日、戦死したと聞かされた。しかも攻め取った城で自分の旦那がよその女にうつつを抜かしているところを襲撃され、それを体を張って守ったためだと知ってさあ大変。
泣きに泣いて「あんたのせいで私の子が死んだのよ!私の息子を返してよ!出来ないなら離婚よ〜!」と旦那を責めて実家に帰ってしまった。子供の名前は曹昂子脩(そうこうししゅう)、なんと乱世の奸雄・曹操の長男だ。
三国志の中でも一番恐ろしいと言われる曹操に向かって「離婚だ!」と叫び、曹操が実家まで迎えに行っても帰らなかったという、ある意味三国志最強の女性だ。
そして逆に、愛し合っていたのに別れなければいけなかった夫婦もいた。乱世の駒として使われたにも関わらず、嫁に行った先の旦那と仲睦まじく暮らしたのは孫夫人。
旦那サマの名前は劉備。呉と蜀の同盟のため、孫権が妹を劉備の嫁に出した。
結婚しに行くのに腰には剣で武装、まるで討ち入り状態の新妻。それだけ用心していた孫夫人なわけだが、会ってみたら劉備は風評をはるかに超えたいい男で、その人柄にベタ惚れ、劉備も孫夫人の美しさと快活な性格が気に入り、周りが羨むほどの仲良し夫婦になった。
しかし乱世とは残酷なもので、同盟が破綻したとたん兄の孫権から戻って来いと言われて泣く泣く離婚して呉に帰ることに。可哀想な二人にいったい何人が同情したことか!三国志ファンとしては少なくとも1万人はいたと思いたい。
そして数年後、孫夫人のもとに一報が届いた。それは劉備が戦死したという内容で、再婚もせずにずっと劉備を思い続けていた孫夫人は絶望して川に身を投げて自害。実は戦死の知らせは誤報だったのだが、それほどまでに劉備を好きだったのかと思うととても切ない。
夕方の特番で名場面シーンとして放送してもらいたいほどだ。離婚を言い渡した丁夫人も、仕方なしに離婚した孫夫人も、そして現代のバツイチ女性たちも、いつの時代も気力と体力、その他諸々を削ってしまう離婚。やっぱり夫婦円満が一番、パートナーと仲良く過ごしましょう!

 

5回目 2008年8月号

幸せにも色んな形があるが、女性の幸せというと一般的には「結婚」だろう。そのためには夫選びが重要であることは言うまでもない。
ポータルサイト『オールアバウト』の記事によると、結婚してはいけない男は、俺様男(尽くさせるばかりで思いやりがない)、ホラふき男(嘘をついたり考えがコロコロ変わる)、転職男(転職のたびに収入が落ちる、長続きしない)、浪費男(見栄っ張りで将来設計が無い)、借金男(身の丈に合った生活ができない)、偏食男(食事の献立に苦労する)、干渉男(執拗な行動チェック、常に束縛)、マイナス思考男(あらゆる場面で悪影響がある)、などが挙げられるそうだ。これらを踏まえて、「三国志武将 結婚してもイイ男・悪い男」を検証してみたいと思う。

劉備・・「転職男」。(志はとても高いのに実力が伴わず、戦をすれば負け、安定すれば裏をかかれ、そのたびに逃げて頭を下げ、巨大勢力に居候をするが、ハタと思い出したようにまた出奔してまた負けるループを繰り返す)結論⇒結婚してはいけない男。
曹操・・「浮気男」(何人もの妻と妾を抱えているのにまだ飽き足らず、東に美女がいれば奪い取り、西に才女がいれば呼び寄せる。しかもたくさんの妻や妾が産んだ自分の子どもは才能がない限り名前さえ覚えない)結論⇒結婚してはいけない男。
張飛・・「偏食男」(真性のアル中で、主食は酒と肉。そのせいかデブであり、留守を頼むと劉備の命令があったにも関わらず酔っ払って寝てしまい、大事な城を奪われて命からがら逃げてしまった情けない男)結論⇒結婚してはいけない男。
関羽・・「俺様男」(目上には礼儀正しいが、目下や部下には容赦なく威張り散らす。義兄の劉備ですら止められず、そのせいで部下に裏切られ、大事な戦で命を落としてしまった。そろばんを発明したというお金に細かい性格でもある)結論⇒結婚してはいけない男。
呂布・・「裏切り男」(とても世話になった上司の丁原を出世のために殺し、新しく義父になった董卓を女のために殺し、逃走して劉備の世話になったにも関わらず城を奪い、とうとう曹操に捕まった。曹操は呂布の武力を惜しんだが「生かしておいたら俺が危ない」と死刑にしてしまった)結論⇒結婚してはいけない男。
甘寧・・「暴力男」(若い頃は川で大暴れをする川賊だった。呉に拾われる際も乱暴者ということで孫権が渋い顔をしていたほど。呉での活躍は素晴らしいが、裏を返せば大のケンカ好き)結論⇒結婚してはいけない男。
夏侯惇・・「熱血男」(目的のためなら命を投げ出す覚悟で戦に臨み、何をおいても主君を守る。戦以外の場では物静かであるが、心の奥底ではいつでも気炎が吐ける覚悟があった。敵の矢が目に刺さり、それ以降片目だけで戦ったがそんなものはハンデにもならない)  結論⇒結婚していい男。
荀ケ・・・「前向き男」(王佐の才と呼ばれる天才的軍略を持つ。その才能はひとえにポジティブシンキングを基本とし、米が無ければ作ろうよ、陣地がなければ奪いましょうよ、できるだけ犠牲の少ない戦をしましょう、と何があっても挫けない) 結論⇒結婚していい男。
諸葛亮孔明・・「天才肌男」(発想は常に斬新、不可能を可能に変える策略を持ち、思考はいつも凡人の数手先を読む。孔明の発明したもの(かぶ、まんじゅう、紙芝居、その他たくさん)が現代でも大活躍中。特許で暮らせるかも!)結論⇒結婚していい男。
孫権・・・「真面目男」(父、兄から孫家を継いだお坊ちゃま。真面目さと心の広さなら長年孫家に仕えた老将も太鼓判を押すほど。それだけではなくどう考えても数で不利な戦にも果敢に挑む強さも持ち合わせる。)結論⇒結婚していい男。

私個人としては、「結婚していい男ナンバー1」には孫権を推したい。女性からの人気は低めだが、実は包容力も経済力も勤勉さも持っている。部下とちょっと子供っぽいケンカをするところはご愛嬌だ。勤勉さと愛嬌が現代日本の男性と通じるところがあって親しみが湧く。
しかし、「絶対に結婚してはいけない」ロクデナシ男だとわかってはいても、ついつい好きになってしまう女性はあとをたたない。それは三国志の時代でも同じのようで、劉備、曹操など人間性を疑う武将達も女性には大変モテた。それだけ三国志の男性たちは魅力的なのだと証明される。
幸せな結婚生活を送るためにはその男が「暴力男」ではないか、「浮気男」ではないか、冷静に判断する目が大事であることをお忘れなく!



初コラムで大変でしたが楽しくていい経験をさせてもらいました。
「三国志新聞」を手にとってくださった皆様、サンクチュアリ出版様、「三国志新聞」の発刊の
機会を作ってくださった「三国志男」のさくら剛様、そしてすべての三国志ファンの皆様、
ありがとうございました!!