あらすじ

ちょっと脚色してあります。現在は不定期連載です。

西暦 タイトル おはなし
184
黄巾の乱
「腐れきった世の中を改革するんじゃ!」と言い出したのは、中国冀州鉅鹿に住んでいる張角。
張角は道教という教えを信奉している人で、魔術的な治療や占いをしていました。それが拡大してとうとう新興宗教みたいなものを作ってしまいます。
大昔から政治と宗教は切っても切り離せないもの。そーゆーわけで「わしが政治もやっちゃうよ!」とばかりに信者を集めて軍事組織化して、 「蒼天已死 黄天當立 歳在甲子 天下大吉」(蒼天すでに死す 黄天まさに立つべし 歳は甲子にあり 天下大吉)をスローガンに掲げて挙兵します。
蒼天とは「漢」のことで、黄天は「私が作る世の中」という意味。
黄色い頭巾を信者に被らせて目印にしていたので「黄巾党」と呼ばれていました。
スパイを漢帝国に送り込み、さて反乱を起こすか!と思っていたころ、裏切り者が出てしまい反乱発覚!!
漢帝国はこいつらを排除しなければ!と黄巾討伐軍を作ります。
  桃園の誓い

さて一方でタク県というところ。現在の河北省で北京の近くに母子家庭の劉備が住んでおりました。
貧しい家の子でムシロやワラジを編んで暮らしていた時、たまたま知り合った不良仲間の関羽と張飛と仲良くなります。
そんなある日、張飛の実家の桃園で飲んでいた三人。
「今のまま終わる人生なんてクソ食らえだ。このへんでいっちょ旗揚げしねえ?だって俺、中山靖王劉勝の子孫だぜ?いつか皇帝になるんだから、こんなところでくすぶってるわけにゃいかねえよ!」
この劉備の言葉に感銘を受けた二人は劉備を「兄貴!」と慕い、義兄弟の誓いを立てます。
「我ら三人、生まれた時は違えども、願わくば同年、同日、同時刻に死ぬ事を誓う」
こんなことを言って乾杯しました。
「じゃあさっそく何をしたらいいかね?玄徳兄貴」
そんな関羽の問いかけに、劉備は先日見た布令を思い出します。
「そりゃ決まってんじゃねえか、雲長さんよ。黄巾討伐の義勇軍に参加すんだよ」
「マジでか!」
「面白そうじゃねえか、兄貴!」
「だろだろ?益徳もそー思うだろ?!んじゃさっそくだけど仲間を集めて申し込みしようぜ!」
そんなわけで劉備組は旗揚げをしたのでした。

189 宦官と外戚

漢の朝廷はこのころ宦官(皇帝の世話をする召使いみたいなもの)と外戚(皇后の親戚筋)で権力争いをしていました。どちらも自分たちの私腹を肥やすためです。
皇帝に直接会って話すことが出来る宦官の中でも権力を持っていたのは十常侍(じゅうじょうじ)という10人です。
そして外戚で権力を握っていたのは皇帝(ダメ皇帝・劉宏。諡は霊帝)の后の何皇后(かこうごう)の兄・何進。妹が嫁に行ったのをうまいこと利用して大将軍になった人です。
国内が黄巾党やら悪政で荒れていたとき、病気で皇帝が死んでしまいます。
「あなた!後継者は誰にするの?!まだ死んじゃダメ!後継者を決めてちょうだい!弁にするって言って〜!死ぬなつってんだろ、このデブ皇帝!」
「わしはもうダメだ〜。フガフガ」(死)
こんな感じで後継者を指名しないまま死んでしまい、何皇后の息子の劉弁と、王美人の息子の劉協(王美人はすでに死去。保護者は霊帝劉宏の母親・董皇太后)のどちらが皇帝になるかが朝廷内で争われます。劉弁は外戚側、劉協は宦官側が推挙します。
「お義母さま、皇帝は亡くなられる寸前に弁を後継者にと遺言いたしましたのよ」
「嘘おっしゃい、この鬼嫁! あんたの子なんかに皇帝が務まるはずないでしょう!絶対に宏は協を皇帝にと思ったはずです!」
「いいえ、弁です!」
「協です!」
「ババアは引っ込んでな!」
「なんですって、このスベタ!」
「キー!」
醜い女同士の争い勃発。勝利したのは何皇后。彼女はなんと董皇太后、要は自分の姑を暗殺してしまうのです。さらに兄の何進は十常侍の中の蹇碩(けんせき)を殺して自分たち外戚を有利にしたのでした。
そして大手を振って劉弁が皇帝になりました。

  呂布登場

何皇后と董皇太后が争っていたころ、何進大将軍が自分の味方として宦官排斥運動に参加させるため洛陽に招いた人々の中に丁原という人がいました。その人が連れてきたのが呂布です。
何進が宦官との争いで殺されてしまうと、実権を董卓が握りました。 なぜ董卓が実権を握ったかというと、幼い皇帝・劉弁とその弟劉協を宦官の十常侍・張譲が保護という形で洛陽から連れ出したのを奪還して、皇帝の母の何皇太后に恩を売ったからです。
そして董卓が目をつけたのが丁原の部下の呂布です。メチャクチャ強いその呂布を董卓は我が戦力にしようと誘います。
「おい、呂布よ。おまえいつまで丁原んとこにいるつもりだ?あんな奴のとこじゃ出世なんか出来ねえぞ。だったら俺の養子になってその力を思う存分使ってみちゃァどうかね?」
「俺の力を?マジで?そしたら出世させてくれるわけ?」
「当然だろう、養子にすんだからよ。話がついたことろで実行だ。ソッコーで丁原を殺してこいや。今なら名馬で有名な赤兎馬(せきとば)もついて金利はジャパネットたかたが……」
「寒いギャグイラネ。まあ、まかせとけ。出世と赤兎のためならエンヤコラだ」
そんなわけで呂布は丁原を裏切り殺してしまいました。非道な呂布の始まりです。

190 少帝死す

話は1年遡り、とりあえず189年の話。
「邪魔なお義母様がいなくなって、これで弁が皇帝ね。ホホホ」
何皇后と何進は自分たちの思い通りに弁が皇帝になりご満悦です。これで自分たちが中華の実権を握ったというわけです。
しかし宦官の恨みは消えるわけもなく。
「おのれ何進、我ら宦官をないがしろにしおって。許すまじ。この国を牛耳るのは宦官と決まっておるのだ!」
宦官も外戚もどっちも自分たちの地位や立場が心配です。
浮かれ気分でいた何進ですが、宦官によって暗殺されてしまいます。
そこで洛陽に入ってきた董卓が実権を握り、少帝・弁の顔を見て考えます。
「こんなアホ面したのが皇帝だと?だったら弟の協の方が明らかに賢いじゃないか。こんなアホガキに皇帝になられるより、俺が協を皇帝にして牛耳った方が信頼を得るのに得だ」
そう思った董卓は何皇后を殺して劉協を皇帝にし、弁は弘農王という地位につけます。
しかしそれだけで済むわけがない。さあ、ここからが190年ですよ。
横暴が過ぎて反董卓軍が設立されて困ったのは当の董卓。弘農王の劉弁を反乱の盟主にされたら「やっぱし劉弁様が皇帝じゃ〜!劉協は皇帝とは違うぞな!」と言い出すアホどもが出るとばかりに、そうならないように先に劉弁を毒殺してしまった!
これで実質上は皇帝劉協を庇護している董卓が正当な中華の為政者ということに!
さあ、どうなる漢帝国!!

 

つづく